pp―the piano players―

 このままでは、わたしは圭太郎君無しでは生きられなくなってしまう。先生に頼るだけの生き方しかできなくなってしまう。
 わたしはわたしのために先生の家を出る。こんな我が侭なわたしは、嫌われたって仕方ない。

 そんなことを考えていたけれど、口には出さなかった。どんな言葉も言い訳になってしまう。

「寂しくなるな」
 わたしはひとつ、頷いた。

 小さな十字路を左折する。やがて、わたしの住むアパートが見えてきた。


「ん? 誰だ?」
 入り口の前に立っている人がいた。
「男手が欲しいって言ってたから、お願いしたんです」
 車を下りて、酒井君のところへ。酒井君は缶コーヒーで暖をとりながら待っていてくれた。

「寒いのにごめんね」
「いえいえ。家にいても暇だから」
 加瀬さんが荷物を下ろしやすいように駐車して、車を下りてきた。