【長】純白花嫁


 実際に作物が育つのが難しい地があるのか。それを目で確かめるために護衛を連れて旅を出た。
 残りの日も半分を過ぎてしまい、たぶんこれを調べたら終わりになることは予測がついた。


「城に居た時は天気がいいなとは思っていたけど、そんなにひどいものなのかな」
「シロラーナは温暖で雨が少ないんですよ。一か月に少し降るか、降らないか。冬にまとまって降る雨が主な貯水になるんです」

 その貯水も少しずつ、無駄にならないように使うことで災いを免れている。
 だけど、小さな村にはそんな施設もなく、結果今回のようなことになったと考えられる。

「ほら、あそこにも畑があります」

 指を差された先。それはからからに乾いた土地。ひびは入っていないものの、それも時間の問題か。

「ちょっと。これ畑の土じゃないでしょう。普通の道路の土と大して変わらない」

 一握りの土、そのような土では作物も育たないだろう。肥料でも混ぜて肥やしたら、少しは育つかもしれない。もしくは、こんな土でも育つ強い作物があればいい。
 辺りを見回す。しかし、世話をしている人もなく、その状態は荒れ地のようだ。

「耕すだけでも仕事になるのに」
「しても意味がないから、しないのでしょう」

 人とは賢い。無作為に何かをするのではなく、先にあるものを見通して行う。この場合、見通しがもてないから、何もしないのだろう。
 その現実はとても痛々しかった。

 今までわたしが見てきた城の生活とは何もかもが違う。違うことにすら気付かなかった。