あれから、この人を落ち着かせるために説得を繰り返した。
はっきり言って、あの襲ってきた人と話をするよりも疲れた。こんなに疲れる護衛なら、別にいらなかったんだけど。
でもそんなこと言ったら、この人、今にも泣きそうだし。
ごく一般的のやわらかい茶色の髪に童顔の顔。それはへたすれば、女の子よりも可愛い男の人。国の騎士隊の一員なんだから、これでわたしより年上なのが不思議だ。
「合歓様、このご恩は一生忘れません! 今度からは一歩手前のところで護衛します!」
「でも、それはそれで落ち着かないのだけれど」
「い、いやでしたか!?」
……そんな捨てられそうな子犬の目で見ないで。許してしまいそうになるじゃないの!!
「え、えと、いやじゃあ、ないかもしれないけど」
「ありがとうございます!! これからはしっかりと護衛させてもらいます」
こうして、気がついたら旅の仲間が増えていた。
こんなことになるのなら、護衛はリュイスがよかったな、なんて心の中でつぶやいた。心の中なら、誰にも聞かれないから、こういうことも言ってもいいよね。
その後、妙にテンションの高い護衛を連れて宿を後にした。
このあとに目指す土地、それは開拓の土地――。


