【長】純白花嫁

 部屋の外は月明かりだけが頼りになる。その明かりをもとに浴場へ進む。
 ちなみに、この浴場は24時間いつでも利用出来るように管理されているとか。
 もう宿じゃなくてホテルだよね。

 脱衣場で服を脱ぎ、タオルを持って中に入る。僅かな火の光と月の光が交じり、幻想的な風景になっている。

「すごい、ロマンチック!」

 何て感動しながら中に入った。体を洗い、湯船に浸かる。

「はぁ気持ちいい。温泉なんて何年ぶりだろう」

 人があと30人は入れるほど広い。でも寂しい、広い場所にぽつんと一人でいれば尚更。

 そんなことを考えながら、軽く溜め息を付く。

 物音がしたのはそんな時だった。
 脱衣場の方からごそごそと何かしているような音。

「や、何……?」

 思わず後ろに下がる。こちらは丸腰。心臓が脈打って、痛い。

「誰かいるの?」

 そう呟いた時だ。
 ガラガラと音を立てて、扉が開いた。