空が薄暗くなりかけたころ、小さな町に着いた。

「部屋を取って休もう」

 町を見学するのは明日にしよう。のんびりでいいじゃない。
 宿の場所を聞き、こじゃれたホテルという名の宿に向かった。

「いらっしゃいませ、お一人様ですか?」
「あ、はい。あと支払いの方はこちらにお願いします」

 そう言ってあの印をみせる。

「こ、皇族の方でいらっしゃいましたか! それなら一番いいお部屋にご案内させていただきます!」

 突然、言葉がかたくなったけどまあ仕方ないよね。

 三階の端にある大きな部屋に案内される。

「わぁ」

 確かにこじゃれたホテルと言われるだけのことはある。
 可愛らしく花模様のベッドにカーテン。花も生けてある。

「部屋多い……まるでスイートルームね」

 早速中を歩くが、奥に寝室があり、手前にはリビングのような部屋がある。
 格別の扱いに心踊る。

「ふぅ、もういいか」

 一段落ついたところで頭に被っていたフードを外す。
 中からは隠されていた髪が無造作に流れ落ちる。