見渡す限り、青い空が広がる。
 というのも、都から離れた道に出ると、大きな建物もなく、地平線の彼方まで見渡せるのだ。

「ずいぶん遠くまで来たなぁ」

 地図を開くと都のある州の端の方。まだ隣の州までは来ていないけど、あまりない建物や舗装されていない道を見ると別世界にいる気持ちになる。

「今日はこの先の宿に泊まろう」

 出発したのは朝。今はまだ明るいが、直に暗くなるだろう。その前に宿を取らないと。
 初めてのことで不安もあり、慣れるまでは明るいうちに宿に入ろうと決めた。

「にしてもさすがに徒歩はしんどいなぁ」

 旅の間、食事や移動など困らないようにと皇族専用の印をもらった。
 それを見せれば、ただでご飯が食べられ、宿に泊まることができ、馬にも乗せてもらえるとか。
 支払いはまとめて国がしてくれるらしい。要するに、わたしが直接支払う必要がない。
 便利といえば便利だけど、クレジットカードみたいで少し怖い。だっていくら使ったか把握出来ない。
 ともあれ、今はこれに縋るしかない。

「馬に乗るのは少し怖いし、お金を浮かすためにも歩こう」

 そんな風に決めたわたしは馬鹿だった。
 絶対明日は筋肉痛だ。