【長】純白花嫁


 しばらく沈黙が続く。それは短い時間だったかもしれないけれど、わたしにしてみたら長い時間だった。

「リュイス?」

 彼との間を縮め、手を降ってみるが、反応がない。
 かと思えば、突然肩を掴まれた。力強く少し痛い。顔を歪めても、リュイスは放してくれなかった。


「なら教えない!」
「は、ぇ? どうして?」

 何時になく、迫る彼の姿に後退りしてしまいそうになる。
 でもやはり、肩の力が強く、動けない。

「なぜ旅になるんだ……? この後おれを置いていくようなら、合歓には何も教えない。知らなくていい」

 そう言いながら、強く強く抱き締められる。彼の胸元に当たり、何も出来ず、聞くだけになる。

「おれを置いてどこかに行くのなら、あの離れにずっと閉じこめておく」
「そんなつもりじゃ……」
「じゃあどんなつもりなの」

 抱き締められたのから解放されたが、逃げられないように、肩を掴まえられている。
 だからリュイスの視線を物凄く受けてしまう。
 熱く、訴えかけてくるような視線を。