「未練はまだありますか? あってもいいと思います。ただ、もし少しでも薄らいでいたら、受け入れる事も考えておいてください」
「受け入れる、か?」
「はい、その方が楽しみも増すでしょう。悲観することも減ります」
その時、皇妃さまの口元が少し笑ったように見えた。
「そうか。昨日あの後、この陛下からもいろいろ言われた。確かに拒んでいたことはあった。同じ境遇のそなたからの言葉を受け入れよう」
その瞬間、足元から力が抜き、体が崩れてしまった。でもこの体には幸せが詰まっている。
わたしは限りある力を使って笑顔を作り、感謝の言葉を述べた。
「合歓、よければ時間が空いた時にでも、また会いに来てくれ。それと管理者に、昨日は済まなかったと伝えてはくれないか。まだ直接話す強さはもってないから」
「分かりました、伝えておきます。それとありがとうございました! 下らない話を聞いて下さって……よかったぁ」
感極まって、近くに来てくれたリュイスに抱きついた。
座ったままだったけど、強く抱き返してくれて嬉しかった。
そして、思いが伝わってよかった。