嵐が過ぎ去っても、わたしは立てないでいた。
「あなたたちはこの部屋の片付けを、リュイス。あなたは合歓を連れて看病でもしていなさい」
あの場所にいながら動じることのなかった唯一の人、合歓はその後の指示を的確に下した。
「ごめん」
わたしはリュイスに言った。喧嘩していたことに対してなのか、今のこの状況に大してなのかは分からないが。
「大丈夫?」
そう言って、軽々とわたしを抱き上げた。
「ひゃっ」
怖くて無意識のうちにリュイスにしがみついた。だって横抱きなんてされたことないものーー!
恥ずかしくて、顔の熱が上がる。
「じゃあ合歓は私の部屋に連れて行くから」
廊下ではほとんど無言だった。
こうされて気づいたけど、彼も男なんだなぁって思う。
「ねぇ」
「うん?」
「ありがとう……」
やっぱり恥ずかしくて、だんだん小声になる。
「対したけがじゃなくてよかったけど、あとで何があったのか聞かせてね。いやでも聞くからね」
「は、はい……」
何時になく逞しいリュイスにわたしは胸の奥が熱くなった。


