「合歓!?」
騒ぎを聞きつけたのかリュイスまでもがやって来た。まさか、こんな形で会うなんて。
しがみついていた腕にも限界が近づいてきた。
「離しなさいッ!」
「きゃっ」
腕を振り払われた瞬間は、まるで細切れだった。
ゆっくりと体が中に浮き、一気に痛みが支配する。お尻や腰が痛い。
「あっ」
その時。皇妃さまはわたしを見ていた。後悔に歪んだ表情で。
「合歓ーー!」
メイドさんたちを払いのけて、わたしのところまでくるリュイスが、この時ばかりは王子さまに見えた。文字通りのね。
「合歓、大丈夫!?」
痛みは次第に収まっているけど、この場の気迫に負けて、立てないでいた。
「何よ、みなよってたかって、私を邪魔者のような目でみて……わぁぁあ」
床に散らばった無惨な家具を拾っては、投げる。これじゃあキリがない。
「何なんだ」
その時、わたしは地獄で神様をみた。
騒ぎは皇王のところまで届いていたようだ。
「それが、皇妃さまがまた……」
ーー“また”?
皇王は一つ溜め息を着くと、ゆっくりと皇妃さまに近づいた。
そこからは早かった。
背後に周り、意図も容易く両手を後ろに抑え、片方の手を皇妃さまの口に入れ、言葉を封じた。
「これは見ておくから、お前たちはこの部屋を片付けろ」
「は、はい」
そして拘束した皇妃さまを連れて行かれた。


