【長】純白花嫁

「本当の……」
「そう、私が聞きたいのは建て前ではない」

 頭の中が混乱してくる。いったい、わたしの思いは、わたしはどこにいるの。


「そこまで」

 第三者の声が響いた事に気づくのに、時間がかかった。

「華春、彼女はあなたとは違い、自覚があるのです。それ以上惑わさないで下さい」

 少し開いた扉に背を向け、小さい体でも威圧感を醸し出している。
 フロウは何時もと変わらぬ姿、口調で話す。
 対して、皇妃さまの方は、フロウが視線に入るや否や、眉間に皺を寄せ、明らかな嫌悪を表した。

「勝手に入ってくるな……気味悪い魔女めッ!」

 そう言い、後ろを向いた。視線に入ることすら嫌がっているみたいに。

「あなたが私に何を言おうとも構いません。が、彼女……合歓には余計なことは言わないで頂きたいです。あなたと違い優秀な妃となるでしょうから」
「言わせておけば、好き放題言ってーー! はなから私は妃になるつもりなどないわ! 止めれるのなら、今すぐ止めてやる」
「な、何なの」

 ヒステリックに叫ぶ姿に怯えを感じ始める。