「異界から来たのは納得しよう」
そう言って、わたしの向かいの椅子に座る。
「異界から来て尚、この国の作法に従うとは誇りはないの」
「えっ、誇り?」
カップを置き、皇妃様の顔を見る。悲しみに歪んだ表情だ。
「そなたの思い次第で私は助けようとも考えていた。しかし、この国の作法で茶を飲むということは、この国を受け入れているということ。もし嫌々やっているのなら、顔にも出る」
そんな意図でこのお茶を出したんだ。
まだ一口も口につけていない、きれいなお茶を眺める。水面にはわたしの歪んだ顔も移っている。
「この国に従うということを前提で話をしよう。先程のあの場での発言はまこと?」
謁見でのことだろう。この国で生きていくーーつまり妃として生きる覚悟があるかという。
「わたしはめったな事がない限り嘘はいいません。それに皇子を支えてあげないと、いけないって思うのです」
「皇子を支える、とは」
「一見、皇子はしっかりと自分の役目を果たしている立派な人間に見えます。しかし最近、わたしにはそれが無理をしてそうしているような気がしてならないのです。最初の頃は物凄く、格好良く見えたのですが、最近子どもっぽい一面を見てから、これまで無理してきたのかなと思ったんです」
わたしはその皇子の母に目をあわせられないで居た。赤の他人のわたしが彼女の息子について語ったって、彼女の方がよく知っているはずだから。
そう言って、わたしの向かいの椅子に座る。
「異界から来て尚、この国の作法に従うとは誇りはないの」
「えっ、誇り?」
カップを置き、皇妃様の顔を見る。悲しみに歪んだ表情だ。
「そなたの思い次第で私は助けようとも考えていた。しかし、この国の作法で茶を飲むということは、この国を受け入れているということ。もし嫌々やっているのなら、顔にも出る」
そんな意図でこのお茶を出したんだ。
まだ一口も口につけていない、きれいなお茶を眺める。水面にはわたしの歪んだ顔も移っている。
「この国に従うということを前提で話をしよう。先程のあの場での発言はまこと?」
謁見でのことだろう。この国で生きていくーーつまり妃として生きる覚悟があるかという。
「わたしはめったな事がない限り嘘はいいません。それに皇子を支えてあげないと、いけないって思うのです」
「皇子を支える、とは」
「一見、皇子はしっかりと自分の役目を果たしている立派な人間に見えます。しかし最近、わたしにはそれが無理をしてそうしているような気がしてならないのです。最初の頃は物凄く、格好良く見えたのですが、最近子どもっぽい一面を見てから、これまで無理してきたのかなと思ったんです」
わたしはその皇子の母に目をあわせられないで居た。赤の他人のわたしが彼女の息子について語ったって、彼女の方がよく知っているはずだから。


