今になって、リュイスのことを考えると不思議な点だらけである。
わたしよりも年上の大人なのに、なぜか言動が幼く感じる。そういう性格なら仕方ないだろうけど。
でも、謁見の時のようにしっかりした皇子の一面もある。
――いったい、どれが本当のあなたなの?
そんな疑問をようやく持ち始めた。
一人ではどうすることもできず、誰かに頼りたいけど、頼ったら意味がない、そう自分に言い聞かせる。
取りあえず思い当たる場所から調べていくことにした。
まずはわたしの部屋。
もう慣れた廊下を歩く。似たような幾何学模様が続くこの国の建物には慣れるまで時間がかかる。今も慣れない、だけど道のりだけは覚えた。
分かる道だけをゆっくりと歩く。
ゆっくりと扉を開ける。いつも開閉しているはずなのに、なぜか重い。
そして、開けた隙間から少し覗く。
……はぁ、いない。
いないのが分かると、中に入り、寝室や洗面所も同様に調べた。
「いないなら、いないって言ってよ」
もちろん、応えなんて返ってこないのは知っている。
それでも口にせずにはいられなかった。


