「何を馬鹿な事を言っているのです」

 そして、部屋に戻った今。そこは修羅場と化していた。
 フロウとリュイスの。わたしはあくまで傍観者。

「先程の話にもありましたように、合歓の覚悟が決まるまでは妃は確定していません」
「でも妃たる証の秘玉を持っている!」
「今回のは不安定な状態です。彼女自身が決意するまでは駄目です、絶対に」

 なぜこのようなことになったのか。それは離れたくないと言ったリュイスの暴走から始まった。
 日々の生活を共にし、部屋も一緒にしたいと言ってきた。いや、強引にそう推し進めだした。
 そこにフロウが入り、何を考えているんだ、馬鹿やろう、という風になった。

「言わば今の執行期間ですべてが決まるのです。合歓ために設けた時間であって、あなたが好き勝手する時間ではない」
「合歓の気持ちはどうなんだ。合歓だって、私と一緒に過ごさなければならないよな」

 どちらも強引、わたしに権利なんてなさそう。リュイスなんて、わたしの気持ちとかいいながら、目力で「そう言え」と訴えてきている。


「……はぁ、もう好きにしなさい。相手にするのが疲れます」

 フロウが折れた。あのフロウが。リュイスってもしかして大物?

「合歓、一時間後はマナーの講座です。遅れないように」

 そう言い残して、フロウは去っていった。