「しばらくは時間を与えることにしよう」


 そう言われ、謁見の間を去ることができた。取り合えずば、よしとしよう。
 部屋に戻ろうと再び来た道を戻る。

「合歓!」

 少し大きな声とともに肩を掴まれ、強引に反対側を向けさされた。

「リュイス……あの場に居たなんて知らなかったのだけど」
「そんなことよりも、なんて無謀な賭けにでたんだ。一歩間違えたら、本当に刺し殺されていたのに」

 力強く抱き締められる。慣れたとはいえないが、その温かさにはいつも落ち着く。

「心配させないで」

 ゆっくりとはがされた……と思ったら、今度は顔が近づいて……か、顔!?
 反射的に目を瞑った。と同時に感じるのは、生暖かい唇。だけかと思えば、そこから伝わる舌の動き。驚きに体が動かない。でもイヤではない。

「キス一つでも足りない。二つや三つでも。もう離れたくない」
「ちょっと、リュイス」

 心配すぎて、離れられないんだ。そう言う彼は異常なのかな。
 なのに必死にそう言う姿はとても立派に感じてしまう。わたしまで、可笑しくなってしまいそう。

 結局、リュイスはそのままわたしに付いて来た。