【長】純白花嫁

「それならばこの国について知ろうと思いました。何事もポジティブに考えて。見ず知らずのわたしに皆が親切にしてくれます。特にリュイス様には常に気にかけてもらい有り難く思っています。今、まだ結論は出せません。何故ならわたしはまだこの国について知らないからです。わたしの勉強が終わった暁に、正式な返事を申し上げることをここにお願いします」

 結局のところ、わたしは答えを出していない。日本人ならではの、遠回しの返答。これを受け止めてくれるか。

「もしここで私がその答えを受け入れず、斬るとしたらどうする」

 皇王の低い声に再び、どよめきがおこる。

「わたしは皇王様を信じています、受け入れてくれると。もし本当に気に食わないのなら、そのようなことは聞かれずに、わたしを斬っていたでしょう」

 その場が沈黙となった。誰も声を発することが出来なかったのだろう。

「肝のすわった娘だ。正直に言うだけでなく、そこまで頭がまわるとは。この場でよく言えた。リュイスではなくそなたを後継者にしたいわ」
 皇王はそう言い、大声で笑われた。一気に場の空気も変わった。