【長】純白花嫁

「皇王。恐れながら、彼女はまだこの国……いえこの世界に舞い降りて日が浅いです。今決断を出すには早いと思います」

 皇王に反論できる人なんて少ないと思う。そんな少ない中、これを言ったのは意外にもリュイスだった。
 わたしのこと心配しているの?

 わたしは驚きに、顔がかたまり、すこし開いた口も閉じることが出来なかった。だって、普段見せる、穏やかな雰囲気とは違うのだもの――。

 普段とのギャップに心臓までが五月蝿くなる。

「お前には聞いていない。この娘に聞いている」

 その言葉に少し落ち着きを取り戻した。大丈夫。ありのままを伝えればよい。

「申し上げます。わたしは自分の今やこれからを脚色して言うつもりはございません。勿論、嘘をいうつもりもございません」

 ゆっくりと前置きを言う。果たして、うまくいくのかな。

「突然、シロラーナに来たときは何もかもが信じられませんでした。無理やり皇妃になれと言われても道理にあわないと思いました。ただ、連れて来られたからには、何を言っても無駄な気がします」

 その一言、一言に周りの人たちは息をのむ。