【長】純白花嫁


 お父さんも帰って来て、わたしにとっては久々の家族での夕食。
 他愛もない話をする。

「今日で学校も終わったも同然よね。新しく住むところ、決めているの?」
「家電も買わないといけないなぁ」

 家族全員そろう食事も珍しい。たいていはどちらかの親が遅く帰ってくるから、バラバラで食事をする。
 だからかな、両親の会話も弾んでいる。

「そう言うことは全く決めていないんだけど」

 そもそも、どうでもいいっていう気持ちまである。自覚した時は何で、って思ったけど、此方の世界には執着がなかったせいかなと思っている。

「早く決めないと、いいところ取られるわよ」

 そんな話もざるのように、耳の外に流れてしまっていた。

 帰って1日も経っていないのに、リュイスが恋しい。
 気がついたら隣でべったりとくっついている彼が頭から離れない。


 それからの一週間は、日がな家の中で過ごす退屈としかいえない生活だった。
 心の中に穴があいたみたいに。