どういうこと? 頭の中で必死に考えても結論が出ない。その間、彼女は小さな宝石のついた首飾りを取り出した。

「それは何?」
「これはその証です。受け取ってください」

 彼女の言葉には力がある気がする。だって、そう言うと自然と両手が前に出ていったんだもの。
 そして、その手のひらの中にぼとっと音を立てて落ちた。
 すると、先ほどまで無色透明だった宝玉が淡白く光りだした。人工的ではなく、波のような白。どこか幻想的で目を奪われる。

「純白の秘玉――それは貴女の本質を表した色です」
「……」

 ついには何を喋っていいのか分からず、黙り込んでしまった。
 その間もずっとわたしはその白を見つめていた。どこか懐かしさを感じてしまう其れを。

「それは我が国の秘玉なのです。そしてそれは……選ばれた乙女に渡される。皇子の伴侶に選ばれた者に」

 まるで時が止まったのかと思った。

「ちょ、ちょっと待って。それはどういうことなの――。は、伴侶だなんて」
「我が国で皇位継承者を持つものの伴侶を決める場合、儀式を行うのです」

 至って平然と話す少女とは正反対に、わたしは驚き焦ってばかりだった。
 やっぱり頭の中で整理しきれず、ついていけてない。
 それに、こんなにも心臓の音が五月蝿い。

「簡単なことで、この秘玉に選ばせるのです。そのためこれは妃の玉、妃玉とも呼ばれているのですが。この度貴女が選ばれたので、導き手であるわたくしがお迎えにあがりました」

 とんとん拍子で、喋る。そしてそれが頭の中に入っていく。
 恐ろしいほどにわたしはその情報を吸収して考える。