【長】純白花嫁


 城に帰ると、驚く事にフロウが出迎えてくれた。
 忙しいんじゃなかったの?

「おめでとう、合歓」

 そして第一声がこれ。一体、何がおめでとうなのか。
 それにしても、その言葉は彼女に初めて会った時を思い出す。

「まだ気づいていない顔ね。その胸元、秘玉が大きくなっているわよ」
「えっ!?」

 慌てて、自分の胸元をみる。数は変わっていない。でも明らかに前よりも大きくなった白い玉がそこにはあった。

「本当だ……大きくなってる」

 リュイスも初めてでびっくりしたのだろう。瞳を大きくあけている。
 大きさ2センチくらいの玉が5センチくらいになっている。数字では3違いだけど、明らかに大きさが違う。

「それを中心に増えていくのです」

 わたしは一歩、この国の妃に近づいた。リュイスの妃に。
 前は嫌だったのに、なぜか今は嬉しさや達成感がある。
 一つの玉に思いを込める。

「この国を統べる者の一人という自覚が芽生えたのですね」
「そんな風には思ってないのだけれども」

 でも隣に立つリュイスが幸せそうに喜んでいるのを見ると、理由はどうであれ、わたしも嬉しい。


「と言うわけで、合歓は一時的に元の世界へ帰ります」