「合歓、分からないことなんてあって当たり前なんだよ」
俯いていた顔が自然と上がる。
「私だって地方の村のことを聞かれたら答えられない。合歓の世界も知らない。だから、合歓が思っていることは普通なんだ」
「でも」
リュイスの言っていることは尤もなことだ。でも納得していない自分もいる。
「それに合歓が羨ましい。違う世界を二つも見ているんだから。それを言うなら、合歓に最初に会った管理者の方が羨ましい。なんたって向こうでの合歓がどんな子かも見たんだからな」
「……っぷ。それは嫉妬かしら。でもわたしは安心しているよ。向こうでの“やる気のない合歓”を見せなくていいって」
あまりに可愛らしい嫉妬に笑ってしまった。だってあの子どものフロウに。
それと同時に嬉しかった。彼がそんなにもわたしのことを思ってくれていると知って。
あぁ、何かわたし。リュイスに惹かれている。
「でもいつか行きたいな。二人で村に旅行とか」
「そうだな、今から新婚旅行にはどこいくか考えておかないと」
そんなに真っ直ぐに恥ずかしいことが言える、リュイスが好きなのかもしれない。


