「国で信仰する女神は偶像崇拝を禁止しているから、代わりに彼女の像を置き、彼女を通して信仰するんだ」
「それじゃあ、間接的になっただけで変わりないじゃない」
呆れた風に言ったがこの国の人にとっては問題ないみたい。
「それにフロウもそれを認めている」
「フロウ? なんで彼女が出てくるの?」
「管理者は神寵姫とともに神の意見を聞くことが出来る存在なんだ。ただし彼女が“聞く”目的は巫女とは違うらしい」
ごちゃごちゃしてきてよく分からなくなってきた。要するに、フロウが認めていることだからOKということか。
一体、あの少女は何者なのだろうか。
「不思議な国ね。そう言えば、初代ってことは今もだれか巫女になっているの?」
「巫女はいるが、神寵姫の位の巫女は今はいないな。初代がなくなってから600年程、相応しい巫女がいなかった。だが20年程前に新しい2代目神寵姫が生まれたらしいが、現在は消息不明……っていわれている」
だから初代のままの像なんかな。
不思議に思うこともあったが、いい社会見学になった。


