「ここの人たちはみんな幸せそう。だってあんなに笑いあっている……」
「合歓。これは目に見える幸せだけかもしれない。でもそれを守るのが皇族なんだ」
街の雰囲気だけで分かる。シロラーナのよさが。人々の豊さが。
「もちろん、王都は地方に比べて生活水準は高い。かと言って、地方が低いなんてことはない。生活が国で保証されている」
一つ一つ説明を聞くたびに胸の奥が熱くなっていく。
素晴らしい国。そこにわたしがいていいのかと。
その後もリュイスはピックアップした場所を丁寧に教えてくれた。
最後にアカデミー前に来ている。あの、城のメイドさんたちの出身校。受験は厳しいが、受かれば誰もが入れ、将来を約束される場所とも言われている。
一見してみれば、学校というよりも城のようだ。
「まぁここではいろいろな科があるからそれだけ広いんだ。王宮がある城に次いで大きな城になる」
「ひゃぁ~、信じられない」
辺りをよく見渡す。するとどこかでみた彫刻が目に入った。
「あ、あれ。さっき歩いた通りにもあったよね」
「あぁ、神寵姫の像か」
「しんちょーき? 長さでも計るの?」
「いや、この国での信仰だな。神の声を聞き、国を繁栄をもたらした巫女だ」


