門を出て街に来たときも驚きは隠せなかった。まず感じたのは賑やかであると言うこと。そして街の建物、植物が見事に調和した美しさ。
外国というイメージを越えて、不思議な童話の世界のようだ。
「す、すごい」
思わず興奮し、握った手がさらに力強くなる。
「じゃあ、まずはここで一番大きな店に行ってみよう」
どんなところなんだろう。想像を超えた世界には考えることも諦めている。
しばらく歩いていると商店街のようなところに来た。通り一帯に綺麗に並べられた屋台に、食べ物や雑貨の数々。
「大きい通り。向こうまで見えない」
「ここは通称・生活通りと言われ、日々の暮らしのだいたいのものはここで手に入るみたい」
リュイスも分かっていないのか、ガイドブックを熱心に見ながら教えてくれる。
教えてくれるのなら、本から目を離したっていいじゃない。
片方の手でわたしの手を握り、もう片方の手で本を持つ。何でそんなことするのよ。
リュイスの考えは時に読めない。横の姿を見つめるしか出来ない。


