「…分かったから、言わないで」
落ち着いた所で、ようやく城外に行くことになった。
しかしながら、わたしはこの城から出たことがない。わたしにとってこの城がシロラーナの全て。そこから出るのは楽しみもあり、緊張もしていた。
その気持ちを察したのか、自然と手を握るリュイス。手の温かみが体の奥に伝わる。
「やっぱり初デートには恋人握りだよね」
……分かってない。何一つ分かってなんかいないじゃない!
さっきデートじゃないって言ったのに。なんかわたしより女の子みたいだし。
呆れたわたしは握られた手を話すことも忘れている。ううん、ホントは解きたくなかったのかもしれない。
男らしく、そして女らしい彼に心が追いつかない。
そうこうしている間に、城門の前まで来た。
大理石のような綺麗な石で造られている威厳たっぷりの門。この国の一族の力を思い知らされる。


