(だ、誰……この子? しかも何その格好)

 そこには小さな女の子がいた。珍しすぎる蒼銀の髪と瞳。
 しかも、驚いたのはその少女の服。白と黒のふわふわのドレス。レースやコサージュがふんだんに使われている。
 こんな田舎に、こんな格好をした子なんていたっけ?

 ……いやいや!! いないいない!!
 なんて思っていたら、彼女はもう一度、口を開いた。

「ねえ、貴女が合歓さんでしょう?」
「え、えぇそうだけど」

 つい返事してしまった。にしても、なんてしっかりしている子なんだろう。わたしよりも精神年齢が高く見える。

 と此処で気づく。なぜ彼女はわたしの名前を知っているの?
 こんなあったことも見たこともない子が。

「それなら何でも知っていますわ。貴女のことを……」
「え」

 何て間抜けな声なのだろう。
 それに、普通では考えられない姿形などから彼女の言っていることも信用、できないこともない。
 すると、彼女はわたしに向かって微笑んだ。

「ここでは噺が出来ませんので、一旦貴女の家に行きましょうか? 近いのでしょう?」

 な、何で知っているのですか。彼女の言葉に何て返したらいいのかわからない。すると、彼女がもう一度聞いてきた。

「近いのでしょう?」
「は、はい」

 結局、相手の口車にまんまとはめられてしまった。ノーと言わせない巧みな技。明らかに普通の子どもではない。
 家に着くまでの間、沈黙が続いていたが、これから起こることに比べるとずっとマシだったかもしれない。

 この田舎にはぽつぽつとしか家がなく、わたしの家の周りもほとんどが田んぼで、隣の家まで距離が少しある。
 そんな場所だから、もしもの時があったら危ないのは言うまでもないと思うけど。

 家には当たり前だけど、誰も居らず、少女を部屋へ案内した。そして、一応お客様だということでオレンジジュースを出した。子どもはこれが好きだと思って。

「ありがとう。それで……単刀直入に言わせてもらうけどいい?」

 彼女の真剣な顔に此方まで顔がこわばってしまう。彼女の答えにわたしは一つ頷いた。
 もうどうせ何か言われるのなら、きっぱりと言われた方がいい。

「おめでとうございます。貴女は選ばれた乙女です」