【長】純白花嫁


 リュイスは簡単に見つかる。なぜか、会いたいと思ったら、向こうから姿を表す。

「……と言うわけで、城外見学の方をよろしく」「ああ、分かった。今日の仕事がなくなったのはそういうことだったんだ。それならいいものがあるから、図書館に行こう」


 そう言われて初めて来た図書館。大きな彫刻や壁に描かれた絵は、図書館というよりも美術館のようだった。
 しかし中に入れば、本の独特の匂いが鼻に届いた。一階立ての造りだけど、端が見えないほど広い。
 リュイスは慣れた足で目的地まで歩く。わたしは見失わないように付いていった。

「あったこれ。『王都の観光BEST☆100』」
「え」

 手に持っているのはパンフレットのような、旅行ガイド本のようなもの。

「やっぱり初めてのデートだから、思い出に残る所に行かないと」

 この皇子は齢21にもなって何を考えているんだ。そうじゃない、そうじゃないでしょ!

「何でデートになるのよッ! 言ったでしょ、城外見学だって。デートの『デ』の字もないでしょ」
「いや、城外見学と言う名目でのデートではないのか」
「勝手に頭の中で妄想しないでよ。……フロウに言いつけるわよ」

 最後の部分だけ、ドスのきいた低い声で囁いた。フロウの名前でも使わないと、埒があかない。