そして今のわたしの心境としては、この玉を完成させたいという使命と、これから先のことが見えなくて怖く、完成させたくないという矛盾する思いが入り混じっている。
こんな状態のまま、何かしても意味のないことのように感じるのはわたしだけかしら――?
「まぁ課題を言われているならまずはそれを乗り越えるようにしたらいいか。困ったら父上か母上に聞いたらいい」
先輩だしね、と付け加えながら話してくる。
「とりあえず、これからはその課題解決に向けての勉強が始まるみたいで。今、日程を決めているから、食事の後に教えてくれるって言ってた」
ふーん、と相槌を打たれる。先が見えているようで、全く何も見えない。わたしの心の浮き沈みのよう。
それから、晩御飯が出来ましたとメイドさんが声をかけてきたので、話を中断し、食事を食べる広間へ向かう。
「そういえば、リュイスもこっちで食べるの? あっちが本当の家なんでしょ?」
と、大きなお城のある方へ指をさす。夜になると、温かな光がもれて幻想的み見える。そして、夜なのに活気があるようにも見える。
「だって向こうに戻ったら、合歓が一人になるだろ? 管理者も今は向こうに戻っているだろうし、メイドたちと一緒に食べることも出来ないし」
……確かに。結構大きなつくりとは思っても、現在ここに住んでいるのはわたしだけ。代々の秘玉の持ち主が住んでいたといわれるだけあって、寂しい気もする。
もし、そんなわたしの気持ちを知った上で、何も言わず傍にいてくれるのなら――。
でももしかしたら、自分の役目としても感じているのかもしれない。妃と共に課題を乗り越える、ということはさっきも話したのだから。
分からない。分からないけれど、そばにいてくれるのなら、それ以上に嬉しいことなんてない。
食事中は特に何も喋らないけれど、そばにいてくれるだけで温かい気持ちになれるのは、貴方のおかげ――?
それから寝る直前。ある意味迷惑な客は想像したとおり、フロウだった。
「明日からの予定ですが……とりあえず、城下見学してもらいます」


