突然現れた小娘に過ぎないわたしが考えた案がうまく通るか分からないけど、全力をつくしてみようと思う。
 貴族や文官などは決して悪ではないと信じている。


 それになぜか、できるという変な確信を抱いているのだ。
 いずれこのシロラーナを良い方向に変えていける……あの森の中で伝えられた言葉があるからかもしれない。
 そしてそれは、この子とともに、成し得ることができるはずだから。
 ううん、きっとわたしよりもすばらしい国を造りあげれるんじゃないかな。



 これほどまでの希望をかつて味わったことがあるだろうか。
 夢はもっていても、希望はもっていなかったのかもしれない。あの日、あの時、フロウという秘玉の管理者に出会ったからこそ、この感情をもつことができた。


――女神さま、わたしを選んでくれてありがとう。

 胸で輝く秘玉飾りは、運命の意志……女神の心に繋がっている。この秘玉を通じて、気持ちが伝わればいいな、そう思いながら心の中で呟く。

 これから先、喜び、哀しみ、嬉しさ、嘆き、いろんな思いをするかもしれない。
 どれもこの世界に来てから強く感じた感情。

 ……そう、世界がわたしを必要としてくれる限り、わたしはわたしの役目、シロラーナの妃としての役割を果たしていこう。


*お わ り*