【長】純白花嫁

 食事の後に、改めて二人で話をした。これまでのことも少し思い出しながら。

「思えば、家族って遠い存在だった。親に育てられた、なんて実感もなかったし、親というのがどういう存在か分からない。だから少し不安なんだ」
「怖いの? その、親になるのが」

 リュイスは皇王夫婦に嫌われている、というわけではないのは分かる。
 ただ、幼少期での愛情が極端に不足しているため、その接し方を知らない。逃げるようにその愛情を未来の妃に求めていたという事実。

 けれど、隣でわたしの腕をぎゅっと握る彼の姿を見ると、そんな心配はないように思う。
 それでも不安なのだろう。安心させるように頭を撫でる。
 こうしてみると、大きな子どもみたい。今、必死に子どもの頃の自分を取り戻しているようで。
 きっと、ここでその心を取り戻すことができたのなら、赤ちゃんにも優しく接することができると、わたしは信じている。

「甘えたなリュイスだから、親になるというよりも子どもになるみたいだね」
「それはどういうつもり?」
「そのまんま。今でもこうして離れようとしないじゃない」

 ただ、流れていく時の中、幸せだけをかみしめる。
 まだこの体では、命が宿っているという感覚はないけれど、どこか温かい気持ちになれる。

「元気に生まれておいで」

 二人でそんなことを話していた。