【長】純白花嫁

「貴女にぴったりです、純白の妃」
「……ちょっと、そんな風に言われると照れるんだけど」

 時に笑いあいながら話を進めていった。
 とても心穏やかで、幸せな時だった。


「それで、その少女が最後に言葉をおくるってこう言ったの。『あなたはすでに立派な妃、その子どもと共に歴史に名を残す人になる』って。どういうことなんだろう」
「そのまんまじゃないの、この世界以外から来た者というだけで、歴史に名を残しますって!」
「それはそれで、珍獣みたいでやだなぁ」

 マナちゃんとそう話していると、フロウが怒ったかのようにしゃべる。

「せっかくの言葉をそんな風に解釈するなんて、信じられません」
「フロウがそんなこというなんて。誰が何を言っても気にとめないと思ってた」

 わたしがそう呟くと、マナちゃんはクスクスと笑いながら、こっそり告げてきた。

「フロウはね、唯一忠誠を誓った人を悪く言うと機嫌が悪くなるんだよ」
「唯一忠誠を誓った人?」
「ほら、会ったでしょう。夢の中で。フロウに似た人に。ううん、本当はフロウが似ているんだけどね」

 そこまで言われ思い出したのは、例の少女のこと。
 彼女からすべては始まったのに、不思議なことにそこには話題が向けられなかった。

 そういえば、あの子はだれだったのだろう。