「まあ言わなくても分かることだと思う。だから今から私は聞き側に回ります」

 笑顔でフロウに合図を送るマナちゃん。そしてフロウも応えるように、一つ息をつき、こちらを向く。

「それで、合歓。用件は何?」
「あ、えっと……秘玉の完成と同時に正式な妃になるってどういうこと?」

 違う! こんなことじゃなくて、もっと聞きたいことはたくさんあったのに、頭の中で整理がつかず、結局最初に聞いたことはそんな言葉だった。
 そしてフロウも、わたしの質問が意外だったのか、少し目を見開いた後、冷静な表情に戻り、口を開く。

「秘玉とはもともと妃に課せられた試練の結果です。その試練とは国を知ることや民を知ること、さまざまあります。けれど最も重要なとこが古来から一つ決められているんです。それが妃の懐妊」
「もっとも重要な試練……」
「いくら他が素晴らしくても、国を次へ繋ぐ世継ぎを産めなくては意味がありませんから。逆に言うと、それをもって試練は終了するんですよ。一番大切なことだから」

 確かに今まで、その試練のためにいろいろ努力してきた。でも、どこでそれが終わるのかはいまいちよくわかっていなかった。
 そんなことが決められていたなんて。

「このことは本来妃には伝えません。それを知り、他を怠ってはいけませんから。でも合歓になら、伝えてももう大丈夫なんでしょう」

 そう言われて、ああ、この人はもうすでにお見通しなのだと思い知った。