【長】純白花嫁

 その時、わたしは魘されていたようだ。自分のそんな声に気付いた。

「また夢をみたのか?」
「ん……あぁ、夢だったんだ」

 そしてようやく夢と現実の違いがつく。
 ここでやっと気付くというのも可笑しいかもしれないが、夢という感覚がなかったのだ。

 実際に土の上を歩く感触がした。木々の匂いがした。
 リアルな感覚に騙されたのか。それとも、夢でもありえることなのか。

 こちらをじっと見つめるリュイス。あたりを見るとまだ夜中なことに気がつく。
 暗闇にうっすらと蝋の灯りが輝く。

「寝てたんじゃないの?」
「隣であんなに魘されていたら、ゆっくり眠れないから」
「……悪かったわね、うるさくて」

 安眠を妨害して悪かったという気持ちよりも、それを言葉にして言われたことに少し苛っとした。
 睨みを利かせて言うと、リュイスは慌てて言い直す。

「そういう意味じゃなくて。気になったんだ、合歓にまた何かあったんじゃないかった」
「別に何もないけど」
「……うそだ」

 薄ら闇でよく表情が見えないが、今、リュイスの顔は見たくないと思い、必死に視線をそらす。