「にやにや笑っていてどうしたんだ……」

 いろいろと想いにふけっていたのが悪かったのか、タイミングが悪かったのか、その場にはなかった声が聞こえてきた。
 窓の外は夕闇が広がる頃。反対側の扉の方に顔を向けると、そこには化け物を見るかの如く訝しい目でこちらを見るリュイスが立っている。

「帰ってきたらなら、声に出して言ってよ! は、恥ずかしい思いしちゃったじゃない」
「そりゃ言おうと思ったけど、合歓の怪しい声を聞いてふっとんだ」
「ふっとぶほど可笑しかったの!?」

 いつもと違い、わたしの方が恥ずかしがって笑う。体中の熱が頬に集結している。
 とっさに、傍にあった布団をかぶる。

「ごめん、ごめん。謝るから出ておいで」
「そんなに簡単には出れませんー!!」
「もうすぐご飯だし、出てきたらどうだ?」
「わたし、犬じゃないんだけど」

 頭だけ少し出して応える。

「じゃあ、無理やりにでも出てきてもらおう」

 何をするのかと疑問に思ったが、その考えはすぐに消え去り、衝撃が走る。布団を無理やり剥ぎ取られそうになった。強い力に、やめてと叫ぶ。
 でも結局、男の力には敵うわけがない。あっという間に剥き出しになる。