気がつけば、一波乱あったのが嘘のように静寂に戻る日常。
 あの後、皇宮に戻って、さらに部屋に戻って、ベッドの上にぼうっとなり座っていた。

「まるで非現実のような日々だった、改めて思うと」

 結局マナちゃんは神寵姫として神殿に戻ることになった。
 最後に分かれる時は、今までと変わらず接して欲しいと握手を交わした。
 わたしはというと、何一つ変わっていない彼女に物凄く安心し、これからも会いに行くと約束した。

 この場に戻ってきてもその興奮は静かに続き、こうしてぼうっとしながらも、心のうちでは熱く、思い返せば笑みが出るほどだった。
 傍から見たら不気味な光景だと思う。でもいいの、だって部屋にはわたしだけだから。

「そういえば、最後の女神さまがあいたいって言葉だけが謎だったなぁ。……まあでもいっか」

 取りあえずひとつ解決した。
 そうそう、あの神祇官はというと近いうちに裁判にかけられることになった。マナちゃんの記憶が戻ったことで、今回の監禁事件だけでなく、20年前のこともまとめて取り上げられるそうだ。
 にしても20年もあの男の野望に気付かなかったというのにも驚く。どれだけ周りの人間が平和なのだろうか。
 せいぜい、これまでの罪を償って、更生してくれればと思う。