あまりに突然で、あまりにふつうに言うものだから最初は何を言っているのかよく分からなかった。
 でも、マナちゃんは笑顔を向けてもう一度言う。

「思い出して最初の言葉がこんなことで驚いているかもしれないけど、『あいたい』んだって」

 やはり聞き間違いではない。
 しかし、この言葉に反応をしめしたのはわたしだけではなかった。隣に立つフロウもまた同じだ。

「あいたいって言われても、そう簡単に会えるものなの?」
「そんなわけないわ。だって彼女はこの世界では生きられないはず、だからこそ私たち二人が派遣されているにすぎないのに」

 私たちですら、そう簡単に会えるものではない。
 驚いてはいるが、冷静にそう答える。わたし以上に、フロウが反応を示したことの方がわたしにとっては驚きなのだが。

「もちろん直接は無理でしょう。でも預かった言葉によると、合歓は知っているはずだと」
「知っている? そんな覚えひとつもないけど」

 身に覚えのないことを言われて躊躇する。わたしよりも詳しいであろうフロウですらお手上げのような状態なのに、分かるわけがない。