【長】純白花嫁

「つまり今のマナというのは2度目の生になるの。再び赤子に戻り、過ちを繰り返さないようにするため。その間、かつての記憶はきれいさっぱり白紙状態になっていたけど」
「でもまさか、合歓と同じ国で育つとは。これも神の意志なのかもしれませんね」

 普通の人として生きることが出来たからこそ、いろいろな感情を知ることができた。
 かつてとはまた違う人生に、たくさんのことを学べたそうだ。

「それはわたし自身だってそう。確かに毎日暇でつまらないことだらけだったけど、あの場所はとても平和で温かったから」
「今の私もそう思う。かつての閉鎖された生活じゃ気付かないことがたくさんあった」

 多分、ここに戻ってきたのはやはり神の意志なのだろうか。
 この時期に再びこうして舞い戻ってきたのも。

「でもまさかあの男に手によって再び戻るなんて、一体どういう考えだったのか。それはよく分からない。しかも監禁までして。よっぽど恨まれていたのかな、私って」

 今では余裕があるのか、笑顔を見せながらそう話す。
 何はともあれ、辛い状態から脱することができたのなら、わたしはそれだけで嬉しい。

「でもこうしてやり直すことができたのは、一番の幸せかもしれない。フロウ、貴女と違ってね」
「私たちはお互いがお互いの使命を果たすだけです」
「そうね。使命といえば、女神から合歓に言葉を預かっているの、えっと……あいたいだって」