【長】純白花嫁

 民の間では、直接言葉を預かる巫女の存在として存在していたという。
 そうリュイスから聞かされたことを昨日のように思い返していた。

「厳密には消えていない。でもそれほどまに追い込んだのはあの男自身」
「ちょ、ちょっと待って! 基本的なことかもしれないんだけど、マナちゃんはその時のことを覚えているの? てことは、マナちゃんが神寵姫だってこと?」

 当り前のように話が進められるから、少し焦った。だって、肝心なことが分かっていない!
 以前のマナちゃんにはそんな記憶なんてなかった。わたしと同じ国で生まれ育ったという記憶しか。
 だけど今の彼女はそれを平然と話している。どうなっているの!?

「それとも関係あるわ、結論からいえば、私は確かに20年前に姿を消したそのナーディア自身」
「で、でも記憶は……」

 焦るわたしとは対照的に、まるで女神の微笑みを浮かべ彼女はゆっくりと話す。

「順を追って話すから。私がかつて生まれた時にいろいろ言われたと思うけど、私自身は普通の子どもだったわ」
「確かに。私と違い、貴女は人と同じように生まれてくる」
「それでも国で定めらたように、神殿で神職を司っていた。そんなある日、あの男は神殿に入ってきた」