【長】純白花嫁

　走っても走っても、その差は縮まらない。
　上がる息に、マナちゃんはこんなにも速かったっけと思ってしまうほど。

　似たような並びの回廊を抜け、中庭に着いたとき、足も止まった。

「うわっ」

　ぶつかった。しかしそれどころではない。

「私は、私じゃないの？」
「……マナちゃん」

　支えてあげようと肩にふれた時、彼女は頭を抱えて倒れ込んだ。

「うぁあ…いたい……」
「ど、どうしたの!? 大丈夫？」

　こめかみ辺りを手で押さえ、息が乱れ始める。　ふらつく体を支えることしかわたしにはできない。

「歩ける？ 部屋に戻って少し休もう」

　まだ辛うじて意識があるなか、一歩一歩とゆっくり来た道を戻る。
　途中出会ったメイドさんにも手伝ってもらい、客間にあるベッドまで辿り着いた。

　ベッドに寝かせた途端に意識を失ったかの如く眠り始めたマナちゃん。

　わたしには何が出来るだろう。

　そう考え、まずは元居た部屋まで戻ることにした。そこに何かしらの答えがあるはずだ。