流石に正式な訪問のような形なため、場も屋敷では上等の客間で行われる。
その部屋にはわたしたち以外に記録係や護衛なども入り、下手な動きは一切出来ないよう、厳重な監視があることが理解できる。
わたしたちが部屋に入ると既にその中央の机の向こうに男が一人座っていた。
この男こそ、マナちゃんをここまで呼びつけ、監禁していた張本人。
壮年の男性だが、今やその威厳はなく、暴れる様子も見られない。
髪は黒かっただろうが、白髪が混じり精神的にどんな状態なのかが伺える。
「無様な姿ですね。熱心な信者でもあったあなたが今やこんなことになるなんて」
フロウの言葉からすべてが始まった。
その言葉に俯いていた顔がゆっくりと上がる。
そしてその目線はマナちゃん一直線に向いていた。
「ナーディア! わしのナーディア……還って来てくれたのか!」
ガタンと椅子が落ちる音がする。今にも、とってかかりそうだ。
「動くな、この者は今はこちら側で保護している身。勝手に近付かれては困ります」
動けない。
体全体がまるでフロウに支配されたかのように、鉛のごとく動かない。
こんなフロウ初めてだ。