昼頃になるに連れて、体調はよくなっていく。やはり気分的なものもあるかもしれない。

 とにかく今はこの気持ちを抑えることでいっぱいだ。

 陽も高くなる昼前にわたしたちは出掛けた。
 自宅謹慎されているとはいえ、相手は国家に拘束されている者、気が引けない。

 管理者であるフロウや妃であるわたしも正式な任務として派遣される。
 そのため今日は馬車での移動になり、周りは護衛でかためられた。


 ここまでの騒ぎになるなんて思ってもないなど軽く話をし、緊張を抑えたころ、いよいよ目的の場所まで着く。

 先に先導役が屋敷の者と面会を取り付け、中に入る。

 そこは拘束されている者がいるとは思えない程に厳かで、立派な造りの屋敷だった。
 わたしは息をのむ。
 しかしその隣でマナちゃんは震えていた。

 もともとこの場所に囚われていた身だ、ここに再び来ることすら勇気のいることのように思える。

「大丈夫、今はわたしたちが付いているから」

 そう言い、彼女の手を強く握り締め、中へと歩いた。