【長】純白花嫁


 部屋に戻ってきたわたしはベッドにひかれるかのようにそちらに向かい、倒れ込む。
 バルコニーから夕陽が差し込むなか、静かに瞳を閉じる。

「疲れた」

 零れる言葉。
 うつ伏せで寝ていた体を起こし、仰向けでまた寝る。

 今寝たら、このまま深い眠りになるだろう。
 それでも眠り続けたいと思ってしまう。

 ご飯やお風呂も後回しにしよう、今はここから動きたくない。


「失礼します。お食事の準備が整いました」

 声が僅かに聞こえるけれど、応えることはできなかった。



 その時は、夢を見ることもない深い眠りだったと思う。
 一時的に目が覚めたのは夜中。頭はまだ眠いけど、体が起きてしまったようだ。


「覚めるんじゃなくて、朝まで寝たかった」

 そう思っても、起きてしまったものは仕方ない。
 ベッドからゆっくり体を起こす。

 隣では、リュイスが眠っている。
 昼前に会ったのに、久しぶりに出逢ったような感覚だ。
 物音を極力出さないように努める。