【長】純白花嫁

「まさか、あなたが直々に出てくるとは」
「そりゃあ国の要である管理者の貴女が来るのに、待たせるわけにはいかないでしょう」

 ホールに入ったところで、その人物の姿もはっきりと見えてきた。
 やわらかくカーブした金髪に、透き通った海の蒼をした瞳をもつ好青年だ。

「どうも、お久しぶりです」

 初めて見る人をぼうっと観察しているわたしの隣で、マナちゃんが話しかける。
 そう言えば、助けてもらった恩人になるひとだからね。

「はじめまして、合歓といいます」
「これは……お妃さま、挨拶が遅れて申し訳ありません。エアリス・エッカルトです。式の時は遠目でしたので、こうしてお会いできて嬉しいです」
「あ、ありがとう」

 優しく微笑まれると、胸が落ち着かなくなるじゃない。
 この笑みでたくさんの女性を翻弄してきたわけ……と勝手だけど考えてしまった。

「そして、貴女も元気になられてよかった。あの時は結構衰弱していたから」
「ええ、あなたの金髪が太陽に見えて、暗闇の中にいたわたしは目が眩んでしまっていたけど、今は元気」

 普段はどちらかといえば仏頂面をしているマナちゃんが、笑顔で話している。
 何とも不思議。笑顔の貴公子に笑顔のマジックだ。

「知っていると思うけど、今日はそのことで来ました。時間は大丈夫ですか」
「はい、特に今日は予定もなく、屋敷でのんびり読書しようかと思っていたので」

 フロウが本題を切り出すと、彼はここでは何だからと客間まで案内してくれた。
 その間も退屈しないようにいろいろ話してくれる。話術の上手い人だ。