この神殿は横広に長い。端から端までの移動はかなり時間がかかる。
マナちゃんがいた部屋は全体の中央部に位置する。中央には重大な施設や地位の高い者たちの室が主になる。
それはつまり、ここの人たちは彼女を重要人物とみなしているということか。
周りからは神寵姫だといわれている。それと関係があるのだろうか。
「なんで、みんなはマナちゃんを神寵姫だと思っているのかな」
「さあ。私を見てそう言っているということしか知らないわ」
移動しながら会話をしていたが、ふと足が止まる。行き止まりだ。
奥の方まで来たのかもしれない。神殿の外は庭というよりか、森といった感じだ。
「ここで終わりみたい。別に気になるものなんてないけど」
「確かに。普通の通路に普通の部屋といった感じだったね。こっちの方は人も少なくてなんかさびしい」
神殿に手掛かりはないのだろうか。
少なくとも、元最高神祇官にでも聴ければいいのだが。他にかかわりのありそうな人もいない。
と、その時思った。
そういえば、その神祇官の元から彼女を最初に発見した人がいたはず。その人ならば詳しいことが聴けるかもしれない。
「それだ! とりあえず、元の場所に戻ろう!」
わたしが手を引っ張る後ろで、マナちゃんはどういうことだと必死に聞いていた。


