「今ね、マナちゃんのまわりに何が起こったのか、わたしも独自で調べているのよ」
そう言うと、そうなんだと呟くように返した。
彼女自身、気がかりなことがあると言っていた。気になることはあるけど、調べることが出来ないでいるのだろう。
「だから、分かったらマナちゃんにも知らせるから。気になっているんでしょ?」
「うん。何かが分かりそうで、分からない。何かがひかかっているようなかんじ」
それはそれでもどかしいに違いない。
その時、わたしに考えが浮かんだ。頭の中が冴えわたる。
「そうだ! 何もわたし一人じゃなくて、一緒に調べない?」
「い、いっしょに?」
「そうそう、この国について知ることもできるし、一石二鳥ってことで」
彼女自身は、この状況について知らなさすぎる。
知っているのは、自分に起こった出来事だけ。調べていくうちに、別の何か……そう、気になっていることも分かってくるようになるかもしれない。
マナちゃんは少し悩んでいた。けれど、思い切った表情で、わたしの手を握ってきた。
「え?」
「やる。私もいっしょに」
その時の彼女の瞳の強さは、今まで見たこともない意志の強さの表れのよう。
そしてそれは手を介して、伝わってもくる。
強い想いを胸に、わたしたちは部屋を出た。まずは彼女自身に、この神殿の中を見て、この国について感じてもらいながら、調べていくことになった。


