【長】純白花嫁


 昼間。周りは慌ただしくしている中、一人暇だったわたしは、森の奥にある神殿に向かった。
 今日は一人だし、公務でもないからと徒歩。
 しかし、距離自体はそんなに長くなく、ピクニックに行くような感覚だ。
 実際にそれくらい楽しいことならいいのだけどね。


 神殿の人たちは驚いてはいたものの、笑顔で歓迎してくれた。

「今日もあの子に会いにですか?」
「ええ、まあそうなんだけど、その前に聞きたいことがあって……ここの最高責任者の人のところにまず案内してほしいんです」

 案内してくれた巫女さんの表情が陰った。
 何かまずいことを言ってしまったのかと、こちらも顔が強張る。

 しかしそれは一瞬だった。
 すぐに元の表情に戻ったが、どこか面もちが暗い。

「今はいません」
「どこかに行っているんですか?」
「あ、いえ……今、その職に当たる者は現在おらず、空位状態なんです」

 いないって、つまりトップが存在してないということ?
 その状況がなかなか飲み込めない。