あたりが夕焼けで染まる頃、皇宮に戻った。
毎日が楽しく充実した日々を過ごして来たが、中でも今日という日は忘れられない日となった。
久しぶりにリュイスと共に晩御飯を食べ、部屋に戻る。その道のりですら、思い出になる。
「ねえ、合歓。今日は良いことがあった?」
「ん、分かる?」
部屋の中でのんびり寛いでいたら、いつも笑っている顔をさらに破顔させて聞く。
思わず、わたしも今日の出来事を興奮しながら話してしまう。
初めての公務で緊張したこと、実際に神寵姫ーーマナちゃんにあってみるとたくさん話をしたことなど語った。
だけど、マナちゃんのその名前とわたしと同じ世界から喚びだされたことは言わなかった。
「どうして分かったの?」
「そりゃあ、合歓の小さな表情の違いぐらい分かる……というのもあるけど、一番は秘玉だな」
そう言いながらわたしの胸元を指差す。
「あっ!」
思わず、声が漏れた。
よくよく見なければ気付かないが、それほどまでに変化した秘玉。
真っ白の雲のようなその玉が分裂し、少しずつ数が増えてきていた。