【長】純白花嫁


「……マナちゃんはよく名前を間違えられていたの?」
「そう! 文面だけみれば必ず、アイって言われていたわ」

 予想が確信に変わる。

 彼女の名前は愛<マナ>。それが示すのは漢字だ。
 この国に漢字はない。いや、おそらく他の国にもないはずだ。
 あったとしても、漢字の役割ーー字に意味をもっている、漢字とはまた別の言葉だろう。


「マナちゃんはこの世界の人じゃないの?」

 それを聞くのは怖かった。
 直接言い当てる言い方は当たれば、一気に正解に近づくけど、外れれば一気に変人のレッテルが貼られる。

 すぐにそれを聞く勇気がわたしにはなかった。
 だけど、今なら正解に近いと確信がもてる。迷いなく聞けた。

「そうね、ついでに言うと合歓さんも同じでしょう」

 今度はわたしの方が質問に返された。
 いや、これはもう質問じゃなくて確認かしら。答えが合っているかどうかの。


 それに気づいたとき、わたしの心はとてもおちついていた。
 同時に歓喜に騒いでいる。