【長】純白花嫁

 お互いなにも言わない張り詰めた空気。
 かと思えば、くすりと笑い声がした。

「質問を質問で返されちゃった」

 マナちゃんはそう言って、恥ずかしがることもなく、声をたてて笑い始めた。

 いったい、何が面白いのだろう。
 わたしには、彼女のツボがよく分からない。
 しばらく笑っていたが、落ち着きはじめ、ようやく話し始めた。

「私の名前はマナ。愛のある子っていう意味なの」


 その言葉にピンときた。
 恐らく普通の人ならば、さっき名前を言ったのに、また何を言っているんだ、と感じるだろう。
 でもわたしはそうは思えなかった。


 先ほどの、合歓の木の話、そして外国の人かというわたしの質問。
 多分だけど、その答えなのだろう。
 分かる人にしか分からない、ひねくれた答え。

 マナちゃんはわたしの予想以上にきれる人物だ。
 どうだ、と言わんばかりの自信あり気な顔、今までと雰囲気が明らかに違っている。