一息ついて、話を始める。
「随分小さい子もいるんですね」
「ここは縦社会でして、神祇や巫女になるには幼いときに入り、ああやって小間使いをしながら仕事を覚えてから、見習いになり、ようやく本物になれるんです」
随分大変な世界なのだと思い知らされる。
世間話をした後、本題に入る。
その瞬間、周りの空気も張り詰める。
「私は案内役ですので、詳しい事情は分かっておりませんが、尋常でないことだけは私にも分かります」
「尋常じゃない?」
「はい、聞いた話なんですが全く変わってないんです、その姿が」
かつて消えたのは十数年前、そのころと様子は違えど,姿は変化していない。
「彼女が面会できるようになったら、部屋へと案内します」
何分か、なにもない空間だった。
時が止まったようにお互い何も喋らず、静かに待った。


